2005年4月24日

[ 映画 ]

映画「Shall we Dance?」とダンス

最初に映画の予告編情報をいただいてから7ヶ月。ようやく本編を見ることができました。

「Shall we Dance?」 公式サイト

言わずと知れた日本映画「Shall We ダンス? 」のハリウッドリメイク作品。オリジナルから9年も経ってしまいましたが、文字通り「待ちに待った」という感じです。

オリジナルでは、郊外に家を持って長時間通勤するサラリーマンや、日本で密かに盛んな「スポーツとしての社交ダンス」という特殊な背景が結構重きをなしていたので、その辺をどう料理しているかが注目だったのですが、キャラクター設定はうまくアレンジされていたものの、ダンスに関しては、やはり難しかったのかなぁ、というのが正直な感想です。

とはいえ、基本的にはものすごくオリジナルに忠実で、まさに「リメイク」。ここまで追いかけてくれたことには素直に感謝。原作よりはセリフでの説明が少なく、テンポが良かったのはさすがハリウッドでしょうか。

キャラクターのアレンジは、夫婦そのものの形がオリジナルと違いますし、ダンスを始めるきっかけも違います。でも、アメリカと日本では夫婦のあり方が全然違うので、それは当たり前かな、と思います。一番「どうするのかな?」と興味があったのは、竹中さんの演じたキャラ(リンク)。アメリカ版でも同じように「カツラ」のエピソードがあることを不思議に思っていました。結局は、カツラは「ハゲを隠すため」ではなく「違う自分になるため」だったわけで、これを見て初めて、竹中さんの演じたキャラもそうだったのか、と気づいたりして。つまり芸能人社交ダンス部の「ブラボー内村」なんですね。

さて、以下はダンサー視点での感想ですが…。(ただし私は現役&現場を離れてもう10年になりますので、現在の事情とはいろいろ違っているかもしれません。その点はご了承ください。)

まず、ジェニファー・ロペスのダンス。

パッションは素晴らしいと思いました。でも、スタンダードのダンスは「ブラックプールで優勝を狙う」ダンスにはとても見えませんでした。オリジナルでは、当時本物の全日本チャンピオンで、ブラックプールでも決勝に入っている田中英和選手が草刈さんのリーダー役をしており、それなりの説得力があったのですが、いかんせんアメリカ人にスタンダードのチャンピオン候補は無理がある、と思いました。だいたい、スタンダードのチャンピオンは「英国人以外は決してなれない」という暗黙の了解があり、今までに例外はないと思いますので(*)。

* 先程ブラックプールの公式サイトでここ10年ほどの結果を見たところ、2002年にイタリアのスキアーボ組が英国人以外で初めてのチャンピオンになっておりました。ただし翌年からはまた英国人ですが。また、ここ2~3年はアメリカの選手がブラックプールでファイナルに入っています。アメリカでのスタンダードのレベルは今や日本を抜いているようなので、その辺は認識不足でした。

その話はひとまず措くとして、一番素晴らしいと思ったのは競技会前夜にリチャード・ギア扮するジョンと踊ったタンゴ。決してボールルームダンスのタンゴではなくて、どちらかというとアルゼンチンタンゴっぽかったのですが、とても良かった。あれはまさに「命の通ったダンス」だと思いました。そういうところはさすがですね。


それから、リチャード・ギアを始めとする「一般人」のダンス。

やはり「体を動かして踊る」点については日本人とは比べ物にならないくらいサマになってますね。最初のグループレッスンのところはともかく、男3人でマンボを踊るシーン。オリジナルにもありましたが、体の中から出てくるリズムがオリジナルの日本人3人と全然違うんです。いえ、オリジナルがいけないと言っているわけではなく、国民性の違いだなぁ、って。昔町のダンスサークルで教えていたときも、年配者が多いせいか、初心者の方に限らず、ほとんどの方が「足型を踏んでいる」感じになってしまっていたんですが、そういう点がオリジナルは良く出ていました。「踊る」ことに慣れていないんですね。その点、ハリウッド版の3人は、リズムに乗って「踊る」のがとても楽しそうでした。

ただ「社交ダンス」にマイナスイメージを持っている、という点は日本もアメリカも同じなのかなぁ。マイナスの方向は違うみたいですが。

で、そのマイナスイメージ払拭のためか、日本では社会人のための「スポーツダンス」が物凄く盛んで、それをうまく使ったのがオリジナル版です。「男女が体を接して踊る」社交ダンスは日本では色眼鏡で見られがちだったのが「スポーツなんだから」ということで以前より胸を張ってできるようになってきました。でも、アメリカではたぶん「社会人ダンス大会」なんてないんでしょうね。だからすごく立派な会場の競技会でした。その点がちょっと無理っぽかったかなぁ、と思います。

ちなみに、競技会でのダンス。ラテンの方々は素晴らしかったですね。さすがアメリカ。スタンダードの方は、チック役のボビー・カナヴェイルさんがかなり良かったです。リチャード・ギアも良かったですが、ちょっと音楽に間に合ってなかったかなぁ。パートナーの女性は渡辺えり子さんより上手でしたね。でも、えり子さんの踊りってすごくリアリティ感じましたけど。

そして、ドレスネタもオリジナルのままで、ちょっとびっくり。だって、ダンスのドレスがあんなふうに破れるなんてことは、今も昔もないわけで…。

社交ダンスに関しては、公式サイトで連載が始まっていますし、雑誌の特集ページなどにも説明があったりします。興味のある方は読んでみるといいかもしれません。

ただ、ひとつだけ突っ込ませてください。

今発売中の「TV Taro」を見たら、ダンス競技会の説明の最後に「ピクチャーポーズは採点に影響する」ようなことが書いてありました。これ、ウソですから。いわゆるピクチャー・ポーズは、カメラマンや観客に対するアピールであり、選手にとっては「一息つく箇所」です。ここで息を整えます。審査員が見るのは、あくまでも「流れ」の部分。動きがスムーズか、音楽に乗っているか、スピードがあるか、動いている途中のシルエットが美しいか。ピクチャーは止めるのにエネルギーが要りますから、グラついたりするのはまずいですが、ポーズがキレイに決まったかどうかをじっくり見ている審査員なんて、たぶんいません。その間に他のカップル見ちゃいます、きっと。

(4/26追記)
じゃすみんさんの「Shall We Dance?」にTBさせていただきました。
(4/28追記)
katefactoryさんの「Shall We Dance?」にTBさせていただきました。

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コメント(4)

私も見てきました!
自分のブログにもいろいろコメントを書きましたが、ダンスについては余りにも素人なので…言及できず(苦笑)こちらの記事を文中よりリンクさせていただきましたのでよろしくお願いします。

相変わらず他力本願で…(汗)。

Posted-by むさし :2005年4月26日 17:50

◆むさしさん
ダンス…、偉そうに語っていますが、現役の人が見たら「何言ってんだか」かもしれませんよ(^_^;。
でも、ついついダンスについては書いちゃうんですよね。
長文読んでくださってありがとうございました。

Posted-by かれん :2005年4月26日 18:40

TBありがとう。読むのが遅くなっちゃいましたが すごいね~。かれんさんの解説ですごく理解できちゃった。やっぱり専門家が見ると 違うところにチェック入れてる!!
イギリス人じゃないといけないようなところがあるんだね。アメリカ人とイギリス人・・・。
いろいろありそうだわね。
 

Posted-by じゃすみん :2005年4月28日 18:15

◆じゃすみんさん
うーん、どうしても自分の関わった世界だと、そっちばっかりチェックが入っちゃいますね(^_^;。
アメリカ人とイギリス人は、社交ダンスに関していえば全然違いますね。
特に、ワルツやクイックステップのような「スタンダード(きちんと組んで踊るダンス)」は、ヨーロッパ社交界の流れを汲んでいるせいか堅苦しいイメージがあって、自由奔放なアメリカ人には馴染まない感じだったんですよ。
だから、最近全英の決勝にアメリカ人が入っていると知ってびっくりしたくらいです。
考えてみると、15年くらい前から、スタンダードもかなり流れが変わってきて、情熱的なダンスをする人たちが増えてきましたからね。アメリカ人向きになってきたのかもしれません。

Posted-by かれん :2005年4月28日 22:50

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