2005年4月13日

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凄すぎる…「亡国のイージス」

亡国のイージス 上  講談社文庫 ふ 59-2 亡国のイージス 下  講談社文庫 ふ 59-3

先日、映画「ローレライ」を見るまではその名前も印象になかった作家、福井晴敏さん。「ローレライ」の原作「終戦のローレライ」を読みたいと思いつつ、4巻モノに腰が引け、図書館とブックオフを探した結果、すぐに手に入ったのがこの「亡国のイージス(上)・(下)」でした。

この夏映画化されることは知っていて、だからこそ先に読むのはどうなのか?、と思いつつ読み始めたらこれが止まりません。「はまった!」と書いてから一日で残りを読破してしまいました。

「面白い」なんて軽い言葉で済ませては失礼な気がします。エンターテイメント小説の類は、今まで少なからず読んできましたが、これはその中でも屈指の傑作だと思います。この本に出会えただけでも「ローレライ」を見た価値があったかも。

まず、主要登場人物3人を紹介する長い「序章」。しかも最初の「行」のある部分で、私は泣きそうになってしまいました。いくらなんでも早すぎですが、その時点で私がこの小説にはまることは決まってしまったようなものです。(おまけにそのシーンは最後まで尾を引くのでした。)

そんな私的かつ瑣末な感想部分はともかく、緻密な人物描写と、映像的なテンポの良い文章に、この重い重いテーマをもった、スケールの大きな話も、もたつくことなく読み進めることができました。「国防とは」「平和とは」「国家とは」「人生とは」といった問いかけが、リアリティをもって迫ってきます。そして、その問いかけに真っ直ぐ応えようとする者、逃げようとする者、自分の信念と立場の間で揺れる者…。登場人物たちの心の動きも自然で無理がありません。

扉の後ろに大量の登場人物紹介があり、チラッと見ただけで引きますが、読んでいれば自然に区別できるようになります。というか、一人一人の人物造形がきっちりできています。その描き分けも、考えてみるとスゴイことです。

前半にじっくり時間をかけて人物描写をしながら、実はきちんと話は進んでいます。予備知識一切なしで読んだので、予想を裏切られ続ける展開になりました。でも、それが良かったと思うので、細かい内容には触れません。とにかく一度読んでほしい作品です。

ラストは賛否両論のようですが、私は好きです。ここまで広げた風呂敷をきっちり畳んでくれるお話も少ないですし。(畳んだと思えない人もいるかもしれませんが)。

これを読んで、福井晴敏さんを読み倒したくなりました。やっぱり次は「終戦のローレライ」でしょうか。

ちなみに映画は見に行くつもりです。この話を二時間にまとめられるのかどうか不安はありますが…。配役だけを見ると期待できそうです。また、今はコミックにもなって連載されているようですね。活字に不安な方はそちらもいいかも。でも、やっぱり活字を読みながら脳内映像化する作業が一番楽しいと思いますけど。

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