2004年8月 2日

熱海MOA美術館「薪能」

昨夜、熱海のMOA美術館で行われた「薪能」を鑑賞してきた。

熱海に住んでいる夫の両親が、市民に配られる鑑賞券を申し込んでおいてくれたのだ。義父母は能狂言には興味がないということなので、ベビーシッターまでお願いしてしまい、至れり尽くせりで、また夫と二人での鑑賞となった。

薪能の開演は午後6時で、鑑賞券のみ持っている人は午後5時以降の入場とのことだったが、その前に入場料を払って美術館に入っていた人は4時半頃から会場に入れるというので、美術館の方も見たいし、というのでかなり早めに行った。

MOA美術館は初めてだったが、立派な能楽堂があったり竹林があったり、なかなか立派だった。中でも現在開催中の特別展、伊能忠敬の地図はすごかった。伊能忠敬の業績そのものは知識として知っていたが、実際に「大図」などを見るのは初めてだったので、その正確な形と精密な書き込み、そしてその測量方法の手間を思うと、ただただ圧倒された。

それはともかく…。

4時過ぎに列ができていることに気づいて並んだが、少し遅かった。それでもなんとか舞台の見える位置を確保することはできたが、美術館に入っていなかったら、鑑賞に堪える場所は空いていなかっただろう。後で聞くと2000人収容ということだったが、能を鑑賞するにはもっと近くないとツライと思った。

自分たちが座ったところはかなり急な斜面の芝生で、幸い段ボール製の簡易な斜面用イスを配ってくれたので、なんとか滑らずに座ることはできた。でも、時間が長かったので、最後はお尻をはじめとしてあちこち痛くなってしまった。

さて、肝心の薪能。演目は、能「小袖曽我」狂言「伊文字」能「杜若(かきつばた)」の3番。

美術館の芝生のある広場にしつらえられた能舞台。木々に囲まれ、舞台の奥には熱海の海が覗き、まさに絶景。

薄暮の中で始まった「小袖曽我」。パンフレットにあらすじと台本が載っていたので、予備知識のない私でも十分楽しめた。五郎と十郎の兄弟が、仇討ちの前に母に暇乞いをする話。特に、勘当されている弟が旅立つ前に母に勘当を解いてもらう、というのが要かな。話もわかりやすかったけれど、特に、最後に勘当を解かれた後の曽我兄弟の舞は美しかった。

日が落ちて薪に火が入り、カクテル光線に舞台が映える中、狂言「伊文字」。清水の観世音に妻乞いをした主と太郎冠者は、ご夢想の妻だという女に会うが、女は一首の和歌を詠んで立ち去る。歌の途中までしか聞き取れなかった主従は、歌関(うたぜき)を設けて往来の者に歌の後を付けさせようとする、という話。狂言は言葉がよくわかるし、テンポが良いので楽しい。すっかり空気がほぐれた。

最後の「杜若」が始まるころ、海の上には満月が昇った。舞台装置は雰囲気満点。でも、「杜若」はほとんどが杜若の精の舞で、これだけ大きな会場で見ると、細かい所作や舞手の緊張感があまり伝わってこない。また、途中で退席する人も多くて会場そのものが落ち着かず、ちょっと残念だった。幻想的な雰囲気は十分伝わってきたのだけど。

それでも「薪能」は初めての経験だったので、鑑賞できて良かった。かがり火、満月、海に浮かぶ漁火、そしてひぐらしの声と、薪能ならではの舞台装置は十分に堪能できた。今度はもっとこじんまりした薪能を観てみたい。

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